Yama Go!Go!

Kagoshima Mountaineering Circle

秋の霧島で地図読み&ロングトレイル

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約 9 分

北アルプスを目指して vol.05

2019年11月15日

秋真っ盛りといった風情の霧島連山にやってきました。ナビゲーターはオリーブです。今回の登山トレーニングは11月15日、金曜日。嬉しいことに平日です!旅行と登山は、混雑しない平日がgoodです。

平日の誤算

仕事の都合で日曜登山になる確率が高いのですが、今回は金・土連休というグッドスケジュール!連日の激務で目の下には濃いクマができていましたが、自分にむち打ち、連休初日の金曜日に登山トレーニングを決行しました。実は、くじゅう遠征登山の後、一度霧島の獅子戸岳に挑戦し、無残にも敗退した私。挫折も糧になるとは思いますが、くやしいので、トレーニング登山には換算しないことにしました。というわけで、獅子戸岳はレポートなし!再挑戦した時に改めてレポートします。獅子戸岳でスタミナ不足を実感したので、今回はロングトレイルに挑戦です。11キロ以上の行程です。厳密にいうなら、ロングというよりミドルトレイルといった距離でしょうか。それでも、私史上最長の距離です。くじゅうよりも長い道のりですが、標高差がないので足への負担は軽いはずです。獅子戸岳で膝と足首を痛めてしまったので、少しからだを労わります。

朝7時、仕事の日とほとんど変わらない時間に起床し、8時に家を出ます。9時半にえびのエコミュージアムセンターに集合、9時50分にトレーニング開始予定です。平日だし、余裕で到着すると思っていたのですが、これがとんだ間違いでした。いつも自転車で通勤しているので、車事情をすっかり失念していたのです。通勤ラッシュです。朝のこの時間は、平日よりもむしろ日曜日の方がすいていることに後から気づきました。仕事に向かうたくさんの車の群れを何とか抜けだし、えびの高原についたのは9時35分。5分オーバー、オーマイガーです。途中、トイレも我慢していたので、お腹の調子が優れず、トレーニング前に2回もトイレを往復します。

地図が読めない女

いつもなら準備を整えたらすぐに出発するのですが、今日は、コンパスと地図を使った地図読みのトレーニングをすることになっています。地図を見て、現在地はどこかときかれますが、いまひとつピンときません。一昔前、『話を聞かない男、地図が読めない女』という本が350万部の大ベストセラーになったように、元来、女は地図が読めない生き物なのです。しかし、山に行く以上、男も女も関係ありません。女脳に鞭打って、読めない地図に食らいつきます。

えびの高原~白鳥山分岐~六観音分岐~六観音池~不動池分岐~自然研究路分岐~木橋~甑岳~池塘~木橋~六観音池~白鳥山~白鳥山分岐~えびの高原

リーダーに倣って、現在地と中継地、分岐点に印をつけていきます。まず、現在地と次に向かう分岐点にコンパスのメモリを合わせます。地図がずれないように把持し、赤い罫線に合わせながら、N(北)が地図の上部にくるようにコンパスのダイヤルを回します。そして、コンパスの向きが矢印に合うように自分のからだを回転させます。コンパスの針と矢印が重なるところで回転を停止し、コンパスが指した方角、すなわちからだが向いている方向に目的地はあります。この地図読み、5~6年前に今は亡き好日山荘鹿児島店の地図読み教室に参加した時には、全くのお手上げ状態だったのですが、北アルプスをめざしている今は気合いが違います。驚くべき注意力で説明をきき、理解しようと努めます。まさかあの時のコンパスが今になって活躍しようとは夢にも思いませんでした。

清々しい遊歩道を歩き、白鳥山分岐に到着します。すかさず次の分岐点に向けてコンパスを合わせるよう指示があります。さきほどのレクチャーを思い出し、慎重にコンパスのダイヤルを回しますが、『はい、残念!Nが逆!』とリーダー。しまった!地図が上下逆になっていても地図の上方向にNを合わせなければならないのです。混乱する自分の女能を何とか落ち着かせ、再度挑戦。2度目で地図読みに成功しました。分岐にくる度にこの地図読みを行ううちに、だんだんと慣れてきて素早くできるようになってきました。女でもがんばれば地図は読めるのです。

おとぎの森を歩く

時折首からぶら下げたコンパスで方角を確認しながら歩きます。道標もあるわかりやすい道なので迷うことはありませんが、自分の合わせた方角が合っているかを確認するにはちょうどいいコースです。

六観音池が見えてきました。数年前に初めてこの池を見た時はその美しさに驚いたものです。川や海と違って池は波がないので、鏡のような水面に色とりどりの木々や青い空が映しだされます。そしてその水面が太陽の光を受けてキラキラと輝くのです。

六観音池を過ぎると、屋久杉を移植したと伝えられる巨大杉が現れます。黄色や赤の紅葉に囲まれ、実に堂々とした風格です。あまりに大きくて、普通のカメラではその全貌を捉えることができません。この木のてっぺんに猿の惑星のシーザーがいたとしても何の不思議もないような気になります。

巨大杉の下でチョコレートを一粒食べ、甑岳をめざします。甑岳は今までに何度か登ったことのあるお気に入りの山です。甑岳そのものも個性的でいいのですが、甑岳に向かうまでの針葉樹林の森がとってもいいかんじなのです。まっすぐ上に伸びる涼し気な木々、緑色の苔、乾いた落ち葉で覆われた道に射す木漏れ日。赤ずきんや白雪姫に出てくるおとぎの国の森のイメージです。みどころ満載のコースをリラックスした気分で楽しく歩きます。

おとぎの国の森を過ぎると、いよいよ現実が待っています。急登です。韓国岳や高千穂峰とちがい、ゆるいイメージの甑岳ですが、山は山です。最後はしっかりとした急登があり、最後の最後にはロープもあります。額から今日初めての汗がにじみます。しかし、最近のトレーニングの成果が出ているのか、難なく甑岳山頂に到着しました。

ナウシカの草原

甑岳山頂への到着時刻は予定より15分遅れでした。スタートが遅れたのと、地図読みに手間取ったせいです。山頂で立ち止まることなく池塘へ降ります。初めて池塘へ来たときは、風の谷のナウシカしか頭に浮かびませんでした。池塘一面を覆う金色のススキがふわふわと風に吹かれる様を目の当たりにし、安田成美の歌声が頭の中に響き渡りました。

金色の花びら散らして振り向けばまばゆい草原
雲間から光が射せば身体ごと宙に浮かぶの

この池塘のことを歌ったとしか思えない歌詞です。今回も池塘への道を下りながら頭の中でナウシカをリピートします。池塘に下りるとやはり金色の草原が広がっていました。誰もいない草原の真ん中に立つと、自分がナウシカになったような気になります。相変わらずの素晴らしい景色を見渡し、ふと足元に目をやると、土がキラキラと輝いています。キラキラの正体をよく見てみると、なんと霜柱です。正午をすぎた晴天の日にまだ霜柱が残ってたのです。山の冬はすぐそこまで来ているようです。

カレーメシ

ナウシカの池塘を後にし、甑岳山頂でランチをとることにします。時間が押しているので、急ぎ気味にランチの支度です。今日のランチは、いつもとは趣向が違います。ただのコンビニ飯ではないのです。前日にイオンで山ごはんになりそうなものを探していた時にカップ麺ならぬカップカレーメシをみつけたのです。お湯を入れてかき混ぜるだけでカレーができるというのですから驚きです。さっそくお湯を入れ、5分後にスプーンでぐるぐるかき混ぜると、しだいにねっとりとカレーらしくなってきました。カレー:ごはん=6:4くらいの贅沢なカレーメシです。スパイスが効いて本格的な味でした。これはリピ確定です!カレーが多いのでパンを持ってきたらちょうどよいかもしれません。

調子よくカレーメシを食べていましたが、今日はお腹の調子があまり良くないことを思い出し、あまり食べすぎないようにペースダウンします。お腹がゴロっと脅しをかけてきますが、気づかないふりをします。

ランチを終え、次の目的地へ出発します。今日の行程はまだ半分もクリアしていないのです。

男のロマン

甑岳を下り、分岐ごとにコンパスを合わせながらぐんぐん進みます。池巡りコースをのんびり散策する人たちをすごいスピードでごぼう抜きです。登りでも下りでもない歩きやすい道で、時間を取り戻すべく歩いていると、トレイルランニングをしている気分になりました。アプローチシューズを履いているのも早く歩ける一因かもしれません。登山靴が修理から返ってきたら、重くて歩けなかったらどうしようと一抹の不安が頭をよぎります。白鳥山分岐で1~2分休んで山頂を目指します。上り道を早歩きです。まさに今トレーニングをしている!という気分になります。途中、見晴らしのいい場所で写真をとり、さらに登ります。白鳥山山頂からは韓国岳を綺麗に臨むことができます。山頂にはコンパスのような形をした丸い石があり、霧島連山を構成する様々な山や池のある方角が示されています。ちょうど地図読みのトレーニングをしている最中だったので、興奮してしまいました。この場所から南の方に大浪池、西の方に栗野岳、東の方に甑岳、そして北北東に12月に予定している市房山があるのです。小さなコンパスで世界を指し示すことができるなんて、なんだかロマンがあります。これが男のロマンというものでしょうか。地図が読めるようになると男のロマンがわかるようになるのかもしれません。

ニコパ

白鳥山山頂から少し歩くと白鳥山名物の鉄塔があります。自然の山の中に突如現れる人工物。何かの基地かと思うような巨大な鉄塔がガレ場の中に立っているのです。なかなかかっこいい鉄塔なので、来るたびに写真を撮ってしまいます。内之浦宇宙空間観測所で見た巨大パラボラアンテナを思い出します。

鉄塔から滑りやすいザレ場を下ると、ニコパに到着します。ニコパとは二湖パノラマ展望台のことです。勝手に略してみましたが、なかなかいい愛称です。この展望台は今年秋にできたばかりで、まだ新しくベンチもあずまやもピッカピカです。

ニコパからは正面に六観音池、左手に白紫池を見渡すことができます。昼下がりの陽の光を受けた赤松の林が鮮やかです。霧島赤松は東大寺にも使われている銘木です。松くい虫の被害にあわず、この先ももっともっと大きく育ってほしいです。
ニコパを後にし、後はゴールに向かうだけです。スピードアップで進みます。

11.8キロ踏破

普段の生活よりもよほど早いスピードで歩き、えびの高原へ到着しました。なんと、最後の追い上げで、予定時間より10分早くゴールするという快挙をなしとげました。予定時間内に11.8キロのロングトレイルを歩き切り、ガッツポーズで今回のトレーニングを終えました。距離は長かったのですが、やはり高低差が少ないので、身体への負荷がかからず、思ったよりも楽にゴールできたような気がします。このまま続けて隣の韓国岳や大浪池まで歩けるようになったら北アルプス仕様なのかもしれません。

霧島池巡り&甑岳&白鳥山。今回は爽やかで気持ちの良いリラックスコースでした。膝や足首を休めつつトレーニングをするにはもってこいのコースです。しばらく養生したら、次は本格的な体力トレーニングの山に挑戦です。次回の予定は市房山。きついと噂の九州二百名山です。予定通りトライできるように体調を整え、できることならば膝と足首のために少しウェイトダウンしておきたいところです。

2019年11月15日 Friday
writer オリーブ

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member Olive

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北アルプスをめざす小説家志望のA型女子。