磯間嶽の計画
『次は磯間嶽へ行こうか。』リーダーがポツリと宣言。
『いいですね。』僕は一瞬、間を置いて返事した。
ダイエットを始めたばかりの2019年9月1日、冠嶽バリエーションルートで、体力の限界を感じリタイアした記憶が過る。
でも、それから約18kgものダイエットにも成功し、日ごろからランニング・階段登り・ボルダリングに精進していたので、ちょっと自信はついていた。
いよいよ鹿児島最強低山と名高い磯間嶽にチャレンジかぁ・・・これはカメラ持って行かないとなぁ。となると、荷量は絞っても9kg超になるかな・・・。多分、行けるでしょう!
先日、韓国岳は12kg担いでも楽勝だったしね。
『是非、行きたいです。ちなみにメンバは?』
『今、イキのいい奴がいるのよ。鴨池クライミングウォールもトップロープだけど数回経験済み。そいつを連れていく。』
おっ?新メンバか?
まぁ、リーダーが大丈夫って言う人だから心配ないよね・・・。
磯間嶽へ向かう
2020年03月15日
日曜の朝8時過ぎにリーダーをピックアップし、中央駅へ。
そこで、新メンバのEさんをピックアップ。
ちょっと小柄な女性で、聞くと定期的にランニングしているスポーツ女子。これは頼もしい。
鹿児島ICから南九州市(旧加世田)に向けて、車を走らせた。
走ること1時間程。何故かどんよりと曇り空。時折雨粒が落ちる。
『まずいなぁ。岩場は濡れると滑るから、今日は難しいかなぁ。』とリーダー。
『取り敢えず、登山口まで行ってみましょう。』と、そのまま車を走らせた。
10時に岩稜コース登山口に到着。心配した雨も止み、これはいけるなと、登山開始することに。
既に3台の先客と思われる車が停車していた。
ここが登り口だが、下山後に舗装道を歩くのを避けようと、大浦コース登山口に車を停め、そこから岩稜コース登山口まで徒歩移動した。
いよいよ低山最強の磯間嶽
今回の陣容は、リーダーがトップ、中央にEさん、僕は最後尾で撮影係。
登攀開始早々に急登が続く。初参加のEさんは、全く物怖じすることなく、リーダーに付いていく。
僕はというと、急登を登るメンバの撮影をしつつ、遅れないよう、速足で追いかける。
岩場にカメラのレンズフードがガツガツ当たるが、そんなの気にしちゃいられない。まぁ、レンズフードなんて、大した価格ではないしね。
Eさんは、全く体力も度胸の備わった素晴らしい方で、リーダーにグイグイくらいついて登っていく。撮影しながらだと付いていくのがやっとだ。
ほぼ標準コースタイムで、大坊主岩、小坊主岩まで登攀。巨大な奇岩が立ち並ぶ、なかなかに登りごたえのある岩稜が続いた。
325mピークは展望のない山頂。地図とコンパスで進むべき方角と距離を割り出し、中獄(395ピーク)へ向かう。
途中、第9岩場、第10岩場と、ロープ場が続く。Eさんは、ビビッて巻き道を行くのかと思いきや、リーダーに続いてガンガン登る!
『楽しい~』を連発。
3点支持の感も良く、先頭を行くリーダーが使ったホールドを着実にトレースしていく。
15mぐらいの落差の岩下りも、キャーキャー言いながら、楽しそうに下っていく。
磯間岳は、まさに、自然が作り出した巨大なアスレチックジムである。こんなに岩登り、岩下りが楽しいものかと感動。
中嶽394ピークも展望なく、ここから磯間嶽ピーク(363m)に向かい、北に進路をとった。
途中、岩稜から磯間嶽のピークを拝む。
『あそこに上るんだよ』とリーダー。なかなかの岩峰である。これは楽しみだ。
既に先行している別隊がピークに立っている。我々もあそこに立つんだなと気持ちを奮い立出せた。
ところがここで曇天より大粒の雨がポツリポツリと降りだした。
いつもザックに眠っているレインウェア。いままでは防風目的での着用は経験していたが、雨で着るのは初めての経験。
備えあれば憂いなし。登山にレインウェアは必須だ。
幸い、雨は通り雨で、その後、大降りになることはなかった。
第11岩場も巻くなんて勿体無いことはせず、ガンガン登る。まだまだ登り足りないってEさんも言うほど楽しい。
途中、パイナップルのような形の奇岩を過ぎ、いよいよ本丸の磯間嶽本山に挑む。
バックパック類を全て起き、カメラも迷ったが置いていくことにした。山頂はスマホで撮影することに。
天高く続く鎖を見上げ、『じゃあ登ろうか』と、リーダーが先行。Eさんも、ホイホイと続く。
身軽になった僕も、その後に続いた。
どれくらい恐怖を感じるものだろうと、ちょっと緊張したが、この半年、ボルダリング、鴨池クライミングウォールを毎週のように経験していたからか、登ってみると、何ともまぁ、ホイホイと、階段を登る感じで登れるではないか。
『鎖、要るかなぁ。』なんて思えるくらい。
自分の成長を実感しつつ、あっという間に山頂。Eさんと僕は初登頂だったので、一番てっぺんでガッツポーズ!
正直、あぁ、もう終わってしまったと思うくらい、楽しい磯間嶽だった。
そして、日ごろからのクライミング・ボルダリングの修練が、登山技術や体力面で相当進歩してると実感できた山行でもあった。
『つぎは大崩山かな?』リーダーの不敵な笑みに、こちらも笑顔で『是非!!』と声を合わせた。
2020年03月15日 Sunday
writer ぶん