登山コンパスの名称
登山ではプレートコンパスを使用します。まずはコンパスの名称を覚えましょう。
① トラベルアロー, トラベルライン(進行線)
② マグニファイインググラス(拡大レンズ)
③ ベースプレート
④ スケール
⑤ インデックスポインター
⑥ オリエンティングアロー, ノースマーク(導矢)
⑦ オリエンティングライン, メリディアンライン(導線)
⑧ ダイヤル, リング, ベゼル
⑨ コンパスニードル, マグネティックニードル(方位磁針)
⑩ ランヤードホール
登山コンパス取扱いの注意
磁場が近くに有るとコンパスは正常に動きません。例えば、高電圧送電線の下、電車の中、磁気を帯びた岩が埋まっている場所、スマホの近く・・・などなど。特に磁気を帯びた岩など埋まっている場合、広範囲に及び、正常でないことを気付きにくいので、コンパスを確認すときは場所を変えて何度も確認します。
また、強い磁力のある物の近くに長く置いておくと、磁針が影響を受け、半永久的に正常な方向を指さなくなるので保管に気を使いましょう。
磁針が収められたカプセルにはオイルが入っており、磁針の動きをスムーズにしています。落としたりぶつけたり、高温下に置くなどすると、気泡が入り磁針の動きを妨げるので大切に扱います。
真北と磁北と磁北線
『磁北』とは、コンパスの磁針が示す北のことです。実はこのコンパス磁針は、本当の北(真北, しんぼく)を指していません。地磁気(地球が発する地場)の影響を受け、磁北と真北にズレが生じています。このズレを偏差と呼びます。日本での偏差は5~10°すべて西に傾むいているので、西偏ともいいます。
地形図を買ったら、その地域の偏差角が記載してあります。
登山中にコンパスを正確に使うために、地形図にはあらかじめ磁北の線を書き入れます。これが『磁北線』です。
この磁北、興味深いことに磁北極は常に動いているため、国土地理院では10年ごとに修正しています。だから、どのタイプに地図であっても新しいものを使うようにしましょう。
当日配布される地形図は簡易地図で、縮尺も印刷の都合で1/25000となっていません。本来は、国土地理院が発行する地形図を書店やオンラインで購入します。
一度、行ってみたい山の地形図を購入してみるといいでしょう。
コンパスは首に下げる
登山コンパスの偉いところは、いったん目標をセットし、コンパスが示す方向に直進すると目標につくというわけです。しかし、実際は岩があればよけるし谷があれば直進できません。平行にズレると永遠に目的地には着きません。これにはある方法を用いありますが、次回 “現在地から目標セット” で。
とにかく重要なのは、パッと方位を確認できることと、ダイヤルが途中で動かないようにするということ。山行中、コンパスをザックに入れている人は使っていない人です。サコッシュなどに入れたい場合、ビニール袋に入れたり、ミラーコンパスを使うとダイヤルが狂いにくくなります。
確認の習慣化が大切
遭難の中で、『転倒・転落・滑落』と並ぶ大きな原因が『道迷い』です。登山道以外を歩かない登山者が、道を見失うとは不思議な話でしょう?きっかけは様々あるのですが、すべてに共通することは、計画を立てることなく山へ入り、自分の現在位置を確認し続ける作業を行っていない方々です。
地形を読む能力を高めるには、登山計画(Plan)を立て、実際に山を登り(Do)ながら確認(Check)、そして、次の山行に生かす(Action)・・・。PDCAサイクルを繰り返します。
重要なことは、解りきっているところでもPDCAを繰り返すことで、これは確認作業の習慣化が一番の目的です。また、解りきったところで練習しないと、いつ練習するんですか・・・っていうこと。
手を抜いてもほとんどは無事ですが、手を抜くことに慣れてしまうと、いつの間にかキルゾーンへ足を踏み入れている自分に気付けません。
山行中や目的地などで、パーティー前後の方と磁針の向きを確認し合うといいでしょう。凡ミスが限りなくゼロになります。
自分より新しく入った方へ積極的に声をかけてください。